突発的気まぐれ暇潰し的小説?

『 non 〜〜Kannon〜〜

 

 

肉が降っていた


七年ぶりのこの街で…


ありとあらゆる肉達が結合する中


オレはひとりの漢と出会った







『朝〜朝ぞよ〜〜〜筋肉最高筋肉万歳!』

昨日借りておいた、洗脳的録音のしてある目覚まし時計のスイッチを切った。
あまりのおぞましさに一気に眠気が吹き飛んでしまった。
使いたくはないが、問題なく起きれるのならばこれはこれで…

寒い…暖房が効いていてもこの寒さは異常である。
さっさと用意してもらっていた新品の制服に着替える。
両親の都合で、この三学期からという中途半端な時期に転校することになってしまった。
さらに従兄弟の家に居候しながら、である。
さすがに両親と一緒に海外暮らしをするのは免れたが、一人暮らしは反対された。
それで従兄弟の家に…という事である。
部屋を出た。

「ふんっ、はぁっ!! ふんっ、はぁっ!! ぬぅぅぅん!!!」

オレの部屋の真ん前で、いとこの“水瀬 魔雪”が汗だくで腹筋をしていた。
根っからの漢である。

「ふんっ、ふんっ、ふんっ!! やはり朝筋はいいのぅ!! ふんっ!! はっ!!!」

寝起きから目に毒なモノを見てしまった事を不幸に思いながら階段を下りようとした。

「おふぅ! 祐一!!! 朝の挨拶はおはようだ!!!」
「ああ、おはよう…」
「ぬん!おはよう!!」



食卓につく。
家主であり魔雪の父・秋蔵がとても爽やか〜な笑みを振りまきながら朝食を作ってくれた。
彼もまた魔雪の親らしく巨漢である。

「祐一君、パンにジャムをつけるかい?」
「いえ、バターで充分です」
「ふんぬぅ〜〜〜イチゴジャムうま〜〜〜〜〜〜」
「魔雪の奴、また寝ぼけているなぁ」
「イチゴジャムでワセリン20個は塗れぬね」

ワセリンを塗る事とイチゴジャムは関係ない。
しかし、イチゴジャムがかなり好きであることには変わりなさそうだ。

「何時に家を出れば学校に間に合うんだ?」
「まっそぅ! まっそぅ!! まっそぅ!? ぴギャぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!」
「真面目に答えやがれ」
「すまんな祐一君、こやつ朝にはすこぶる弱くてなぁ」
「いえ、秋蔵さんが謝る事じゃないですよ」
「やめろって言ってるのに朝筋をやるんだよ。朝筋しなければもうちょっと寝ていられるのになぁ」
「朝筋ですか…」
「朝の筋肉トレーニングな。6時から起きて1時間かかるんだ、朝筋は」
「えっ!? そんなに早くに起きてやってるんですか魔雪は?」
「うむ。ちなみに夜は…げふげふ。失敬、何でもない」
「ぬぅぅ〜〜〜〜〜〜ん。祐一のH」
「なんつー夢を見ているか!!! 起きれ!!!叩き起こす!!!」
「朝から激しいなぁ祐一君は。はっはっは」
「…何か勘違いしていませんか?」
「いいんだいいんだ、おじさん気にしないよ、若いっていいねぇ〜」
「ぬ〜〜〜〜〜ん、祐一ってばそんなとこ――」
「スネークバイトォォッ!!!!」

 グシャァッ!!!

「お、おおぅ、祐一、いきなり痛いじゃないか」
「学校行くぞ! 行き方教えてくれないと困るんだよ!」
「うむ、ならば行くか」
「はっはっはっは、シャイな男の子って可愛いねぇ〜。魔雪、祐一君、いってらっしゃい!」
「親父!行ってくるぞなもし!!」
「いってきます…」

朝からひどく疲れた…
これから新しい学校生活というだけで疲れるというのに…

外に出ると、さらにこんなオレにとどめを刺すよな凍てつく寒さ。一面の銀世界。

「寒っ! 寒〜〜〜〜!!!!」
「オレが暖めてやろうか?」
「絶対に嫌だ」
「ちぃ」
「時間の方は大丈夫なのか?」
「ああ、ジェット旅客機を地上1cmで飛ばす技術があれば問題ない」
「意味がわかんないんすけど…」
「冗談だ。走れば間に合う時間だ」
「走れば!? それは大丈夫じゃないじゃないか!!」
「うむ。だから走るぞ。 はっ!!!」

 ボシュゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーー!!!!!

「うぉ!? ドラゴンボールばりの跳躍力!?」

地面を一蹴りしただけで遥か前方にぶっ飛んでいってしまった。

「っておい、待てぇ!!! 学校がどこにあるか知らないというのに!!」

おそらく魔雪が通った後と思われる道を、慣れない雪道で一生懸命走って行った。






「へぇ、ここが…」
「かはぁ!!今日から祐一が通う学校じゃぁ!!そしてオレの学校でもある!!」

校門前で魔雪と合流し、目の前にある新しい学校にしばらく見入っていた。
ふと横に目をやると、短パン半ズボンに改造した制服を着ている魔雪と目が合った。
真冬なのに…

「どうだ!? なかなか良い学校であるぞ!!」
「妙にクラシックな校舎だな」
「天下一武道会が開かれるからな!!」

「おおう!魔雪ではないかっはぁぁ!!!」

後ろを見ると、これまた魔雪に優るとも劣らない筋肉が立っていた。

「ぬん!!顔李ではないか!!」

顔李(かおり)と呼ばれた生徒は魔雪と同じく短パン半ズボンの制服を着ていた。

「久しぶりだなぁ!」
「この間会ったばかりじゃないか!!」
「三日もヤらなかったら久しぶりさ!」
「はっはーーー!!!そうだな!!!」

「ところで、この漢は?」
「前に話した従兄弟の祐一だっ!!」
「初めまして」
「こちらこそぬん!…そうか、こいつが…うしゃしゃうしゃしゃ」
「な、なんだ!?」
「いや、何でもないさ! オレは美坂顔李だ!! んふぅ!!!」

何故か色目を使ってくる。もしかしてロックオンされた!?

「顔李はオレの親友であるぞなもし!」

類は類を呼ぶ。筋肉は筋肉を呼ぶ。

「じゃあ職員室に行ってくる」

オレは逃げた。

「場所知っているのか!?」
「……わかりません」
「ならば! この顔李自ら手取り足取り―」
「どこにあるのか口で言ってくれ!」
「ちぃ…」

早くこの場から逃げ出したかった…






 

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