「このじゃがいも!醤油たっぷりで美味い!!!このマカロニサラダも塩とマヨネーズがたっぷりで実に美味い!!!
 味噌汁も濃い味でもう最高!! ぶらぼぅ〜〜〜〜!!!!」
「味覚障害者みたいな事言ってんじゃねぇ!!!」
「冗談だって!」

久しぶりに4姉妹に囲まれてついつい浮かれてしまった。

今オレは大学の休暇を利用して柏木家を訪れている。
おもてなしの料理の豪華さに感極まる。何せ独り暮らし歴が長いからなぁ。

「それにしても梓、また料理の腕が上がったなぁ〜」
「そ、そうか!?」
「この肉じゃが最高だっ!! …で、この焼き魚は……初音ちゃんが作ったんだね?」
「え、どうしてわかったの!?」
「おいさん、初音ちゃんの事はなんでも知ってるからねぇ〜! 焼き加減がもう何とも!」
「おいおっさん、初音の教育に悪い事は言うな」
「失敬失敬。それにしても、このマカロニサラダは…梓でも初音ちゃんでもなさそうだな…」
「………私です」
「楓ちゃんが作ったの!?いや〜初めて楓ちゃんの料理食べたけど、美味いよ!感動した!」
「梓お姉ちゃんに教えてもらったから……」
「それにしても今日は姉妹揃って料理なんて珍しいね、何かあったっけ?」
「今日は耕一さんが久しぶりに来てくれたので、姉妹みんなで頑張ってみたんです」

いや〜〜嬉しいねぇ〜〜〜涙が出そうだ!

「それでこれが私が作った料理なんですけど…」
「……」

さっきから目に入ってはいたがあえて気にしないでいた“アレ”。
正直食べ物であるかどうかすら怪しい。

「食べてみてくれませんか?」
「え゛っ!?」
「千鶴姉の会心の手料理だ! ちなみにあたしはノータッチ」
「何故手伝わなかったぁ!?」
「いや〜千鶴姉がどうしても“耕一のために”一人で頑張るって言うからさ〜。いや〜妬けるねぇ〜。
 だからさ〜、あたしらのことは気にしないで思う存分食べろ」
「あからさまに逃げるなっ!」
「…私の料理はいらないんですか?」

う……そんな目で見られると…

「腹くくって食べちまえ!」
「……梓?」
「何でもありません」
「うう…食べるのかぁ……」

大ピンチ。
しかし千鶴さんを悲しませる事はしたくない、かと言ってこの歳で天国には逝きたくないし…
いくらエルクゥの肉体を持ってしても、この目の前にある“モノ”だけは消化できそうにない!
かと言って初音ちゃんや楓ちゃんを巻き込むわけにはいかないし…

「…ちなみに千鶴さんはこれ、食べてみたの?」
「耕一さんのために作ったんです。つまみ食いなんてしてしまうわけには…」

味見はしてください…

「そうだ梓、料理が得意なお前がまず味見してみろよ!お前の評価をまず聞きたいね」
「毒見は断る」
「……梓?」
「いえ、何でもアリマセン」
「まいったな……え〜〜と、今はなんとなくお米をたらふく食べたいかな〜〜なんて……」

 ヒョォォォォォ…

冷たい風…
これは鬼の力を発動した時の…

(おい耕一!!もう諦めて食べちまえ! 千鶴姉の偽善が少しでも残っているうちに!!)
(お前、オレを殺したいのか!?)
(どっちにしろ死ぬぞお前!!)
(うう……慰安に来たはずなのにどうしてこんな目に…)

「……逝くか…逝ってみるか…逝くしかないというのか!」
「美味しいはずですよ耕一さん。おじさまは凄く美味いって褒めてくださいましたから」
「親父チャレンジャーーーッ!?」
「……」

 ヒョォォォォォォォ……

やばい…
そろそろ偽善がリミットブレイク寸前だ!

(梓ぁ〜〜〜〜助けてくれぇ〜〜〜〜〜)
(屍は拾ってやる)
(おい…)

「……! やってやる…ぃやってやるぜぇ!! 俺の生き様を見ろぉぉ!!! 天国にいる親父の元へシュート・インッ!!!!」

 パクッ

「……」
「どうだ耕一!?」
「……」
「うまいか!? うまいのかっ!?」
「…どうですか耕一さん?」
「……」



「女子高生とか好きだからぁーーーー!!!!」



俺の意識が覚めたのは次の日の夕方だった…

 

 

 

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