第七章 〜〜 勝つのは誰だ!? 激闘・爆裂・大乱戦!!〜〜



「異議ありっ!!」

オレの叫びが空しく木霊する。

「こんなバカな事があってたまるか!!
 オレはギャルゲーの主人公だぞ!容姿だってクールで端正だ!!!もてないはずがないっ!!
 なのになんだ今の状況は!!! 萌える娘なんてこれっぽっちもいねぇじゃねぇかぁっ!!!
 ベッドインどころか恋人もいねぇぞぉぉ!!
 やらせろぉぉぉ!!!!
 うぉあぁぁぁぁぁ!!!!
 行く所行く所、いっつも戦い!戦い!!戦い!!! オレはサイヤ人じゃねぇっつーの!!!!!」

今まで溜めに溜めてきた不満に満ちた怒りを抑制することなく吐き出す。

「はぁはぁ…疲れた」

思いっきり叫んだおかげで少し心がスッキリした。

よく見ればいい天気じゃないか。
今まで旅してきた中でもトップクラスの青空だ。
海を越えて来る潮風がまた火照った素肌に気持ちいい。

「NIHAHAaーー!!あなたに私のはぢめてをアゲル☆」
「ぎぃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!」

キャミOH再臨。

「てめぇに逢う為に地獄の底から這い戻ったぜ☆」

なんてことだ!こいつ生きていたのか!!

「ぬしとさぁぁぁん・・・・・・NIHAHA☆」
「ええぃ、来るな!近寄るなぁ!!!」
「まぁい・すぅうぃぃーーと・はにぃぃぃ!!!☆」
「来るなァ!!来ないでくれぇ!!頼むからぁ!!!」

オレは泣きながら言った。オレはすこぶるマジだ。

「NIHAHAーー☆オレを愛していると言ってみろぉ!!!」
「でででできるわきゃねぇだろぉ!!!」

逃げろ!逃げろ!逃げろ!逃げろ!
捕まったら死ぬ!オレはまだ死にたくない!!


堤防を飛び降り砂浜を駆け抜ける。
砂が足にまとわり付くが気にしない。
奴のほうが体重が重いためオレより走りにくいはずだ!!

「キャミOH『うふふ、待ってぇ〜〜☆』ぬしと『アハハ、捕まえてみろぉ〜〜☆』」
「勝手に気持ち悪い台詞つけるなぁ!!!」

意外にしぶとい。
全力疾走の為さすがに疲れてきた。
砂浜は思った以上に暑い。日陰がないからだ。

「ぬしとぉぉぉ!!!☆」
「語る舌を持たん!戦う意味さえ解せぬ男に!」

言い終わっておいてなんだが、何故かガトーになってみた。

「待ちに待った時が来たのだ。多くの英霊が無駄死でなかったことの、証の為に!
 再びキャミOHの理想をかかげる為に!“ぬしとと合体”成就の為に!!
 漢達よ!!私は帰ってきた!!!」

奴もガトーだ!!
徐々にオレとキャミOHの距離がなくなってくる。
オレの恐怖よりもキャミOHの萌えのほうが勝っているというのかっ!?
奴の執着心は本物だ!
このままでは埒があかない!腹をくくるしかない!! ええぃ、ままよ!!

 バッ

オレはキャミOHと向かい合った。と同時にキャミOHも停止する。
目の前を一筋の風が吹き抜ける。あたりを静寂が包み込んだ。

「可愛がってやるけんのぅ……JURURI☆」

勢いあまってよだれが出てきたキャミOH。

「もう茶番は終わりだ!! 退かぬ!媚びぬ!顧みぬ!これがオレの生き様!!見届けよっ!!!」

 シュバッ

「うおおお!北斗飛衛拳!!!」
「南斗獄殺拳☆」

 カッ…!!!

二人の体が空中で交差する。技と技がぶつかり合う!

「………むっ!?」
「NIHAHAHAHAHA!!!!」

オレは身体に異変を感じた。
いや、違和感と言うべきか…
何かが足りない!?

「NIHAHA☆ よぉ〜くこれを見てみろっ!!」

・・・・・・・・・がーん!!

キャミOHが空高く掲げて見せたのは、オレのトランクスだった!
いつの間に!? いや、一体どうやってトランクスのみ!?
ズボンに異変はない。

「NIHAHAHAHA!!☆ 貴様には…一生オレの拳を見切ることはできぬ☆」
「く…ちくしょう…そいつを…トランクスを返せ!!!」
「う〜〜ん…グッドゥ・スメェル☆」
「返せと言っている!!」
「くくく…いくらぬしとの頼みでもそいつだけは聞けんなぁ〜☆」
「はぅあ! 頭にかぶろうとするなぁぁぁーーー!!!」
「NIHA〜〜☆」
「やめろぉ! やめるんだ!!」
「NIHAHA☆」
「や、やめてくれ!そのトランクスだけは!」
「☆☆☆」
「やめろぉぉーーー!!!」
「ほぉーわたぁーー!!!☆」

 ズボッ!!

「ボナンザァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「ジャスト・フィットゥ……ジャァストォ・フィッッッツ!!!☆」

オレの純潔が今、音を立てて崩壊した。
この目の前にいる漢と見分けの付かない女の手によって…
オレは汚されたのだ!!!

「…………」
「NIHAHA☆」
「…………」
「気にするな、ビネガーパンツも頭に装備するだろ☆」
「…………」
「NIHA〜☆」
「うおおおぉぉぉぉぉーーーーーーーーーー!!!!!」

 プッツーーン!

 シュゴォォォォォーーーーーーー!!!

「ぬ、ぬしと!?」
「オオオオオオオオオオ!!!!」


人主人の周囲を、砂を撒き散らせながら竜巻が包み込む!
天を貫くその風は徐々に光へと変わっていく…
徐々に体積が増していく筋肉、体が一回り大きくなる!
そして生気を失った瞳…

ぬしと。・・・似てねぇ!(爆)

「NIHAHA〜☆すごい力を感じるぞぉ!! どれ、手合わせ願おうか!」

 バキィ!!

「NIHA?」

豪腕から繰り出されたキャミOHのパンチをぬしとは片手一本で真っ向から受け止めた。

「おらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおらおら」
「ありありありありありありありありありありありありありありありありあり」

 ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ

両者一歩も譲らない殴り合い。
彼らを中心に砂浜が渦を巻き、波が激しく揺れ動く。

「やるじゃない☆」
「………………………!?」

…オレは一体……なんだ、何があったんだ?
頭がボーっとしている……夢から覚めた、そんな気分だ…ほんのちょっと前の事が…思い出せない。
確かキャミOHにトランクスを取られて…ん?

「な、なんだこれは!?」

オレは自分の身体の異変に気づいた。
筋肉がいつもより20%増量(当社比)している。
無駄に腫れ上がらず、それでいて美しくしなやかな曲線を描く筋肉!
そして体を包み込みながら天へ舞い上がる黄金のオーラ!!

「まさか……これが母親の言っていた『超筋力』というやつかッ!?」
「超筋力!? ☆あの伝説の…! 真の漢に天が授ける究極の力……アブトロニック・フォース!!!」
「そうか…これが親父の言っていたという……」

オレの法術は母親から教わったものだ。
そしてまがいながらも法術を使えるようになったのは、オレの中に母親の血が流れているからだと思う。
その母親が父親の話をする時によく使っていた言葉が……『超筋力』。
オレの親父を語るのに避けては通れない言葉、親父が極めたという力。
その力が今になって覚醒したというのか!?

「…確か…言ってたな。………そうか…“極めたるはノーパン”というのは目覚めの……!」

よく母さんが言っていた。
力を呼び覚ます最大の要素はノーパンである事だと……
当然、小さかった頃のオレは意味も分からずノーパンにされる事を激しく拒んだが。
そして、『超筋力』には果てることなく受け継がれ続けるもの。今、時を超えた故人達の想いがこの身体に宿る。
『超筋力』を持つ者に課せられた使命………託された願い……

「NIHAHA〜☆ぬしとが超筋力を持つ人間だったなんて☆ 惚れ直したわい」
「これならばキャミOHに引けをとる事もない!!! 我が心明鏡止水…されどこの掌烈火の如く!!!」

さらに激しく噴き溢れる金色の闘気。
血がたえぎる……筋肉が脈動する……体の芯から燃え上がる計り知れぬ力の衝動。
今ならキャミOHにさえも勝てる気がする!! そう、まるで花を摘む様に…!

「いくぜオイッ!!!」

 バキャァーーッ!!!

「あぁん☆」
「気持ち悪い声出すな!!!」

いける!手応えありだ。
オレの拳がキャミOHをぶっ飛ばした。

「いいねぇ、いいよ君!!ますます惚れたぞ!!☆」
「惚れようが惚れまいが、貴様は倒す!!」

 ドガガガガガ…バキャ!!

戦闘。かなり微妙な絵ではあるが。


キャミOHにラッシュを浴びせる。
自分でも怖いくらいに体が軽い。自分のものとは思えないくらいの速さで腕が空を切る!
防戦一方のキャミOH。叩くなら今のうちだ!一気に畳み掛ける!!
オレはカカロットのように甘くはない!!!

「オレはアイナと添い遂げるぅーーー!!!」

 ドンッ!!!

渾身のハートブレイクショットが入った!!

「あべら☆」

 ズシャァ…

地面に倒れるキャミOH。まともに決まった!

「NIHAHA☆ これが筋力を与えられし者が操るというアブトロニック・フォースか…
 ときには外部からの衝撃から肉体を守る為の鎧となり、あるときは敵を貫く見えない刃となる…
 素晴らしい力だ、NIHAHA☆」
「やけにくわしいな?」
「筋力を我が手に………昔からそう願ってきた!想いつづけて来た!!」
「そうか……残念だったな。どうやら筋力を手に入れるには、血筋が関係していたらしいな。
 オレの親戚でないと覚醒する事はない」
「NIHA…NIHAHA☆ これも漢を求めし者の試練ということか…
 ぬしと、お前を……アブトロニックを受け継ぎしお前を倒す!!」
「オレが死ぬか……お前が死ぬか…もとよりふたつにひとつだ!!
 貴様にも見せてやる!北斗七星の隣にひっそりと輝く蒼星…死兆星をなぁ!!!」
「我が愛しの漢は最強の敵となって立ちはばかる……運命とは酷なものよ。
 だが、相手にとって不足無し!! 我にも髪に授かりし力があることを忘れるなよ!!! かっはぁーーーー!!!!」
「それはドラゴンファング! まさかっ!!」

天が閃き地を貫く! 高く掲げられたドラゴンファングに稲妻が飛来する!!
キャミOHの皮膚が龍の鋼鉄の皮膚へと変化する。額には輝ける巨大な竜の紋章。
そして凄まじい力の鳴動!

「竜魔人化☆」
「…いよいよ本気になったってわけか」
「共に神から与えられし力をもって戦おうぞ!!!NIHAHA〜〜☆」
「ドラゴニックオーラとアブトロニックフォース……似て非なる二つの力!! いくぜオイッ!!!!」
「本当の勝負はこれからだぁ!! はああぁぁぁぁ!!☆」

 グオォォォーーーー!!!

砂浜の塵をぶちまけて二人の闘気が激しくぶつかり合う!!
互角の力!!

「NIHA☆ 負けられん…負けることはできぬぞこの決闘!!」

 バキャァ!

「く、お前一体は何を成すが為に力を欲する!?漢を求める!?」

 ガキィッ

「天」
「何!?」

 ドガガガッ

「漢による漢達の為の漢の国…我の目指すところに漢あり!」
「そんなことのために…」
「そんな事とはなんだ!? 闘いの始まりは全て漢達のいる世界に根ざしている。
 当然の事! しかし俗物の中で戦いを支える者に私を倒せん! NIHAHAHAHA!!!」

 ドスッ バキ、バキャァ!!!

「ぐはぁっ!」
「NIHAHA!!私は義によって立っているからな!歯車となって戦かう男には解るまい!!
 世界が求めるモノ…漢の国!!そしてそれが我が悲願!! 必ずや成就してみせようぞ!!」
「お前のようなヤツがいるから、戦いがなくならないんだ!!」

 ドゴォ!

「オレは悲しいぞ! 『筋力』を与えられし者であるお前が我らと別の道を歩こうとは!!
 お前もわかっているはずだ!!! 漢の精神こそが、今の廃れきった世の中を浄化するのだ!」
「オレは今までいろんな町を旅してきた。 だが、戦いという愚行が必要だと思ったことは一度もない!!!」
「あくまで我らに抗う気か!! あまりオレを失望させるなよ!!!NIHAHAーー!!!」

 ガス!ドスゥッ!

「この世に生を受けたからには…オレは全ての漢達をこの手に握る!」
「そんな事は神が許さぬぞ!」
「NIHA…ならばその神を倒すまで!!」
「勘違いするなよ…。お前の為に漢がいるんじゃねぇ…漢の為にお前がいるんだ!!!」
「言ってくれる! 己の夢も魁れぬヒヨッコがぁ!!!」

 ガガッ シュッ ズガガガガ!!

「強く激しく暖かく!! 何故我らの魂を理解できぬのだ!!
 お前だけではない!我ら以外の地球上全ての人間達もだ!!
 漢を認めん者達は地球のノミだということが何故わからん!!!」
「エゴだよそれは! 所詮貴様もインテリだ!!漢にあらず!!!」

 バキッ ガガガガガ!!

「なんだと!?このキャミOHを差し置いて、何を漢とする!!!」
「革命はいつもインテリが始めるんだ。夢みたいな目標を持ってるからいつも過激なことしかやらない!
 貴様も結局は漢になりきれていないのだ、キャミOH!!!」

 ズガァ!!

「漢を知らぬ者が言うことかっ!! 地球が持たん時が来ているのだ!
 地球が漢を待ってる!!! その時が今なのだ!!! お前には感じ取れぬかッ!?」
「貴様ほど急ぎ過ぎもしなければ、人類に絶望もしちゃいない!」
「人類全てが漢へと生まれ変わらねばならない時が来ている!! 漢こそ新世紀におけるニュータイプ!!!NIHAHA☆」
「ニュータイプが聞いてあきれる! それでは戦争の道具以下だな!!」
「漢を否定するか!! それは『超筋力』を持つお前自身をも否定する事だ!!」
「そうだ! 『超筋力』は漢の証!! 
 だがオレはこの力を漢の為でなく戦いという行為を失くす為の道具としてしか使わん!!」
「何故お前のような漢を認めぬヤツに『超筋力』が……
 ………いいだろう! オレを止めたくば拳で語れ!!! 正義無き力は無力!!力無き正義もまた無力!!!
 お前の正義をオレに示してみろぉ! NIHA−−−−−−!!!!」
「オレのこの手が光って唸るぅ!キャミO倒せと輝き叫ぶぅ! くらえ!愛と怒りと悲しみのぉ!!!
 シャイニングフィンガァーーーーー!!!!」
「ぬるい!!!シャイニングフィンガーとはこういうものだぁ!!☆」

 ゴシュァァァーーー!!!

「いくぜキャミOH!!!!」
「ぬしと!来い!!!!」
「流派!東方不敗は!」
「王者の風よ!」
「全新!」
「系列!」
「天破侠乱!見よ!」
「東方は赤く燃えているぅぅ!!!」

 ズガァァァーーーー!!!





最強レベルにおいての漢と漢の決闘。
ぶつかり合う熱き闘気はやがて外界からの進入を拒む灼熱の嵐を築き上げる。
その風は大気全てを飲み込み二人の周囲で荒れ狂う。
これはまさに魔界に名高い“真竜の闘い”の再来である。




「ふぅぅ、ふぅぅぅ…NIHA☆」
「はぁ、はぁ、ぜぇ…」

互角か…さすがにキャミOH、一筋縄では勝てないか…
長期戦は不利だ、体力においてオレはキャミOHにかなりの遅れをとっている。
いくら強力な力に目覚めたとしても、それを支える肉体の方が力についていっていない。

それにオレ達を包むこの高熱の闘気流…
こいつは…

「…ぬしと、気づいているか?」
「…何がだ?」
「この我らを取り囲む熱風の檻……これは漢の決闘の証!!
 ぶつかり合う両者の力が極めて均衡している場合にのみ形成されるバトルフィールド!!!」
「それくらいは何となく気づいている」
「放出されたエネルギーが実力が互角ゆえに相手に届かず周囲に蓄積された戦闘空間。
 そして、この行き場所を失った闘気は、両者の力の均衡が破られた時力の弱まった方へ…
 即ち敗北した者へ収束する!!」
「なるほど、高いモノから低いモノへと流れる…自然の摂理か」
「これがどういう事かわかっているか?」
「ああ」
「つまり、敗者には確実な死が待っているという事だ!!!」
「逃げ出す事も出来ないわけか…」
「まさにこれぞまごうことなき漢の戦い!! 地獄の決闘と言われたる所以!!! NIHAHAHAHAHA!!!」
「オレはこんなところで死ぬつもりはない!」
「然らばオレに勝つ事だ! オレを倒してみろォォォ!!!」

荒れ狂う闘気の渦の中にいる為、異常に熱く息苦しい。
立っているだけで体力が奪われてしまうのがよくわかる。
…ならば!
次の一撃でキャミOHを確実に倒す!!倒さなければならない!!
余力を削る為の肉弾戦ではこちらが圧倒的に不利だ!

「ぬしと、行くぞォォ!!!」

 ズォ!!

……来るかッ!!!
一撃に!
この拳に全てを賭けて!!!

…今だッ!

「当たって砕けろォォォ!!!」

 ドォォォォォン!!!

「ぐッ!?」
「NIHA!いいパンチだ、実にいいパンチだったぞ、ぬしとよ!!」

オレの拳はキャミOHの体を捕らえる前に拳に阻まれていた。
拳と拳がぶつかり合った衝撃で凄まじい闘気が放出される。
その体制のまま力比べに入る。

「ぬぅぅぅぅ☆」
「く…くあ…」
「…ぬしと。この短期間でよくぞここまで強くなった…だが、戦いにおいてオレとお前とでは経験の差があり過ぎる」

 ズムッ!!

キャミOHの拳が腹をえぐり体がくの字に折り曲がる。

「ぐあっ!!」
「さらに!! 力を使いこなす為の肉体!知恵!修練!!長年に渡り蓄積された戦いの勘!!!
 勢いだけでは敗る事はできぬわァ!!HAAAAA!!!!」
「ぐはッ!!!」

こ…これがキャミOHの本気…修羅を潜り抜けてきた力か!!
ついさっき目覚めたばかりの力だけでは勝てないのか…!?

「NIHA☆ 次で終わりにするぞぬしとぉぉ!!!オレに戦いを挑むにはァ!お前はまだ若過ぎたァァ!!!」
「お前、高校生だろ!!オレより年下のはずだ!!!」
「もはや聞く耳もたぁぁぁんッ!!!」
「しらばっくれるなぁ!!!」
「NIHA−−−−!!!!☆」

 ボウッ!!!

「漢炎気!!☆」
「キャミOHの腕から炎が!?」
「受けてみろォぬしと!!! これが我が最強の奥義・超漢爆炎覇ァ!!!!!」
「………今だ!!」

 ブハァァッ!!!

「NIHA!?☆ 砂が!?目くらましか!!」
「単純だが効果覿面だなキャミOH!!!砂浜を有効に使わせてもらった!」

砂を蹴り上げてキャミOHの視界を遮った。

「く、ぬしとどこだ!!」
「ここだ!!」
「……後ろか!!」
「アブトロニック・フォースよ…オレの指先に集まれ!! 本来1日に5発限定だが…この一発で全部ぶち込んでやる!!!
 はぁぁあ!!!吹き飛べ!!! 漢丸!!!!」
「ぬおおおおお!!超漢爆炎覇ァァァ!!!!」

 ドンッッッ!!!!

「NIHA?☆ 消滅した!?」
「く…今度こそ決まったと思ったのに!」
「にっ… NIHAHAHAHAHA!!!! 我が奥義を持ってしてもとどめを刺せなかったとは!!!
 見事だ!!見事だぬしとよ!!!!」
「…褒められても嬉しくないがな」
「……が! やはり勝利を手にするのはこのキャミOHだ!!」
「そうはいかない」
「その疲れきった体で何ができるというのだ、NIHA☆」
「オレには法術と言う力がある」
「NIHA?☆」
「法術によって、物に触って念を送るだけで手を使わずとも動かす事ができる」
「NIAHHA?☆」
「ならば、自分で生み出した闘気も操作できるはずだ」
「NIHAHAHA?☆」
「つまり、このバトルフィールドの闘気流はオレの味方になる」
「GAAAAAN!!なんて事だ!そんな事が出来るのかぁッ!?ぬしとぉぉ!!!」
 
 ズォ!!!

キャミOHが急接近!

「もう遅い!散れッ!! はッ!!!!」

 ボシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!

 シュゥゥゥゥ…

ゆっくりと二人を取り巻いていた高熱の闘気流が薄れていく。
吹き荒れていた熱風が四方八方に分散する。
それほど時間が経たずにもうその場にはいつも通りの砂浜の景色が蘇っていた。

「に、NIHA☆ 何を考えておる!? てっきりオレに攻撃してくるものだと思っていたぞ!」
「…そんな事しなくとも、勝負はついている」
「な、なんとな!?」
「お前の周りをよく見てみろ!」
「NIHA!? ……ぬぅ、5つエネルギーボールが我が肉体の周りに!?」
「先ほどのオレの漢丸、相殺したわけではなかったのだ」
「なんとぉーーー!!!」
「法術でお前の周りに留めておいた」
「NIHA……なんてことだ!! む、無念!?」
「アブトロニック・フォースは伊達じゃない!! アブトロニックゥゥゥゥーーッ・エンドォ!!!!」

 ズドドドドドドドド!!!

「ぅごおぁぁぁぁーーーーーーーー!!!!」

 ドシャァ……

「NIHAHA………ぬしと…」
「終わった…な…」

 ズシャ

一気に力が抜けた…
ぶっつけ本番で法術とアブトロニックフォースを連携させてみたんだが…成功して安心した。
さすがにあれだけの力を込めたんだ、いくらキャミOHといえど…

「終わりなものか…とどめを刺せ!オレにとどめを!! オレは貴様を殺しす気で戦っていたのだぞ!!!」
「めんどくなった」
「な、なんだと!?」
「やっぱ人殺しになんかなれるかよ」
「そうか……そうかぁ!!!ブワァ(涙)
 戦いに勝って命を奪わず!!これぞ漢道!!お前はまさしく強敵(とも)だッ!!!」
「大袈裟な…」
「NIHA☆ 今日の夜はすこぶるヤル気が出てきたゾォ!!!!
 ふん、はぁッ!!ふん、はぁッ!!ぬぅぅぅん!!ぬうぅぅぅぅぅん!!!ふぉぉぉおッ!!!」

背筋が凍る…
さて、どこか遠いところへ行こうか。
キャミOHのいないところへ…

 ドンッ!!  ドガッ  ドン  ドガッ!!
 ズォォォォォ……

「な、なんだ!?」
「NIHA? これはなんだッ!?」

ダイヤの形をした石のような物体が地面に9つ!

「気に入ってくれましたか、ぬしとさん」
「海栗、これはナギーからの鎮魂曲(レクイエム)だよ!」

ナギーに煮汁!何故ここに!?

「互いの死力を尽くして名勝負を見れてくれた二人に対してプレゼント」
「海栗ぃ!出でよ、魔界の炎ッ!!!」

 ブオオオオオオッ!!!

 ゴアアアァァァァァァァァ
 ゴゴゴゴ
 ゴオオオッ

 ズドオオン!!!

「どう?私の“殺しの罠(キルトラップ)”の見事さは」
「海栗!カッチョイ〜〜〜ッ!!!」
「私の意志一つで魔界最強の炎を召喚できる究極の呪法。中でもダイヤの9は私の自信作」

 ゴオオオォォォォォォ!!!

「海栗ぃ、もう二人とも黒コゲになっちゃってるかな」

「そう簡単にくたばるか!」

「海栗!?」

「NIHAHA!!漢汁開放!!!」
「アブトロニック・フォースをなめるなよ!」

「海栗ぃ!あの中で炎を防いでるよ!!ナギーどうする!?」
「…。大丈夫よ煮汁。
 全てを焼き尽くす八つの炎柱が中央の光点に集まる時、中の生物は灰となって燃え尽きる。
 いかなる力でも絶対に脱出不可能」
「海栗に!!時間の問題だね!!」

「だそうだキャミOH! 何とか脱出する方法を考えないと二人とも灰になってしまうぞ!」
「漢の闘いに横槍を入れるとは…許せん!NIHAA!!!」

 ゴォォォォォォォ!!!

「あっちぃ…何とかならないのかキャミOH!」
「ぬぅぅ、漢汁を放出して炎を防ぐことしかできん!!この手の呪文の罠は使い手を倒さないとどうにもならん!!」



「それならば、オレに任せてもらおうか!!!」



「海栗!何者!?」
「誰?」

「貴様らに名乗る名前などない!!!とぅあッ!!!」

 ズシャッ!

「ぬしと、今助けてやるからもう少しの辛抱だ!!」

「その声は…ボデド!!」

「やつらを倒せばいいんだろ? ふんはっ!!!任せろ!!!」

「体力が限界に近い!頼んだぞボデド!!」

「海栗…偽犬じゃ煮汁は倒せない!!」
「相手しましょう」
「いくぜ!オイッ!!!」

 ボシュゥ!

ボデドが大地を蹴り上げナギーに迫ってくる!
煮汁は大人しく見学! 海栗!

「悪いが時間がねぇ、さっさと決着つけるぜ!!!」
「それならば、こちらもさっさとケリをつけてあげましょう」

 スッ

海栗!ナギーが吹き矢を構えた!!

「古風な武器を…そんなものでオレが倒せるかぁ!!」
「てーーーーーーッ!!!」

ナギーが叫んだぁ!!

 キュィィ ズドオオオオ!!!!

「うおっ!?」

吹き矢から巨大なビームを放出!!!
海栗!!ボデドを直撃!!

「この吹き矢は、ラー・カイラムの大型メガ粒子砲と同等のビーム砲です。
 まともに喰らっては生きてはいられないでしょう」

 ヒュオオオォォォォ・・・・・

果たして偽犬ボデドは死んでしまったのでしょうか!?
海栗に!!ナギー恐るべし!

「期待を裏切って悪いが、オレはまだ死んでねぇ!」
「!?」

なんと生きていたボデド!?
さすがにナギーもびっくり!!煮汁失禁!?んなわけないだろーー!!!

「ふ、ただの偽犬だと思っていられては困る。今のオレは“Iフィールド”搭載している!!
 ビーム兵器は効かない!!!」
「Iフィールド…」
「海栗!!犬じゃないくせに生物でもないのか!お前はなんなんだーー!!」
「いいところ突くじゃないか、お嬢ちゃん。
 オレは…穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めた……超ボデドだ!!!」
「ふっ(吹き矢吹いた)」

海栗に!ナギーの不意打ち!

 ギュァァァァァ!!

「ビーム兵器は効かんと言ったァ!!!」

 ボシュウ!

「オレの中の野性が激しく燃えるぜ!! うおお!!アグレッシブ・ビースト・モード!!!」
「海栗!もともと獣だっつーの!!」
「…4つにわかれないんですか?」
「出来るかっつーの!!言葉のあやだ! ぃやってやるぜぇ!!!」

 ズバキャァ!!

「う…」
「ぬしとの命がかかっている…遊んでいる暇はないのでな! おらおらおらおらおら!!!!」

 ズドドドドド

「…いいパンチ」
「…やるな!紙一重で直撃を防ぐとは!!」
「…いいパンチで賞、進呈」
「うぉお!?」

 ズム!

ナギーのハイキックがボデドのテンプルにクリーンヒット!!!
さっすがナギー!海栗ぃぃぃぃぃ!!!

 ズシャァァァ

「…これでジ・エンド」

 シュバッ

ナギーが空高く舞い上がったぁ!!
豆粒のように小さくなってしまったぁ!!
そして急降下!!
変態偽犬、気づいていない!かわせない!!

「…天空×字拳、受けてみてください。南無阿弥陀仏!」

 ギャン!!

き、決まったぁぁぁぁ!!!
鮮やか!海栗ぃぃぃぃぃ!!!!

「この技を受けてしまうと10日間は目が覚めません…」
「…………ララァ……刻が見える…」
「逝っちゃった」
「逝っちゃいましたね、ナギーさん」
「そのようですね、煮汁さん」

 チャッチャラララ、チャッチャラララ、チャラララララ〜〜♪

「?」
「海栗、この曲は…」
「…例え世間が許さずとも、オレは我が道を行く!! 例え1ダースの妹達がいなくとも、オレの心行きは変わらない…
 人、それを『妹萌え』と言う!!!」

 シュバッ!!

「にょわっ!変態偽犬が復活した!!」
「親近相姦の使者、ボデド参上!!とぅあっ!!!」
「…ポ」
「ナギー!親近相姦で反応しちゃ駄目だよ!!」
「隙ありぃぃ!!サンダー・ボルトスクリュー!!!!」

 ドゴォッ!!!

「にょわぁぁぁ」
「うっ…」
「奥義を受けろォ!!!ゴォッドハンドスマァッシュッ!!!!」

 ギュァァァァァ!!

「海栗!ナギーの危機!!
 フェード…フェード…フェード!!!んんんん!!!はぁぁぁぁぁ!!!!
 逆転!ゴッドバード・ヘッドカッター!!!」

 ジャキン!!!

「成敗…ってなんだこりゃぁぁ!?!?」
「海栗ぃぃぃ!!!」
「あべらっ!!!」

 チュドォォォン

煮汁のヘッドカッターがクリティカルヒット!ダメージ1.2倍!!!

「煮汁…可愛い(ポ)」
「海栗!」
「うおぉぉ!!!妹萌えぇぇぇ!!」
「にょわわ!!変態強し!!」
「おおお!!!オレは負けん!!」
「煮汁、下がってなさい」
「海栗!」
「む、また吹き矢ビーム砲か!?それは効かないぞ!!」
「ビームが出るとは限りません。これならどう?」

 フッ グァァァァァ!!!

「海栗!!グラビティ・ブラスト!?」
「むん!こんなこともあろうかと! ディストーション・フィールド展開!!!」

 ギュムゥ!

「…弾かれてしまいましたとさ」
「いつまでもただのボデドじゃないぜ!?」
「だんだんスパロボになっていますね、ボデドさん」
「それはお互い様だぜ、ナギーさん」
「海栗!煮汁を忘れてもらっちゃぁ困るぜ!」
「それはともかく!この勝負、もらったぁぁ!!! ディストーション・アタック!!!」
「…私ももらいました」

ナギーの片腕にはメラ系呪文が、もう片方にはヒャド系呪文が!
ふたつの相反するエネルギーが同レベルで混じり合い、光の矢を生み出した!
海栗!この呪文は!!

「なんだと!!その呪文はもしや!?」
「極大呪文メドローア。ディストーション・フィールドで耐えられますか?」
「いかん!無理そうだ!?」
「消えちゃってください」

 ズォォ!!

「オープン・ゲットゥ!!!」

 チャキン!

「メドローアが避けられた!?」
「海栗ぃ!!!メーデー!メーデー!
 隊長!!煮汁は見てはならないものを見てしまったでありまっする!!!」
「危なかったぜ…まさに危機一髪!!」
「やりますね、ボデドさん…」
「お前もな。まさか吹き矢以外にそんな隠し技を持っていたとはな」
「あれを避けたのは、あなたが初めてです」
「光栄だな」


「すっかりオレ達のこと忘れているだろ!?」
「海栗!くにさんきひとぬしと!!」
「ぬしと!?どうやって脱出したんだ!?」
「さあな。炎が勝手に消えた」
「……………失敗。メドローアでMPを消費し過ぎた為、キル・トラップが停止してしまったようです」
「ほんと、あと少しで焼肉になるところだったぞ」
「NIHA☆ さて、反撃開始と行こうかのう。
 そちらはお嬢ちゃん合わせて二人、2対3だが悪く思うな」
「海栗ぃぃ、もしかしなくてもピンチ?」
「そんなことないよ煮汁」
「ほう、強気な発言だな? オレとぬしととキャミOH相手に勝てるとでも思っているのか?」
「海栗!ナギーをなめんじゃねぇよゴルァ!!」
「キャラ変わるなよ煮汁」
「煮汁、アレをやりましょう」
「海栗!?あれをやっちゃうのナギー!?」
「…秘策ありとな? NIHA☆」

 ヒュゥゥゥゥ……

「…準備オッケィ!?」
「オッケーーー!!」
「お米券進呈!」
「海栗ィィィ!!!」
「パイルダーオン!!!」

 ジャッキィイィィィィン!!!



…。
…。
「…肩車しただけじゃん?」
「うるさいよくにさんきひとぬしとっ!!」
「おんぶの方が好み?」
「どういう基準で聞いているんだ?」
「NIHA…これはまさか…!?」
「違えねぇ…偽犬であるオレも初めてお目にかかるぜ!」
「何だ二人とも?ただ肩車しているだけじゃ…」
「ぬしと隙アリぃぃぃぃ!!! 八手拳!!」
「うおっ!?ナギーの腕と煮汁の足と手で八つの腕を作り出した!?」
「チャパ王直伝の技です」

 ズガガ、バキャァ!

「ぐはぁ!!!」

見えただけでも腹部にナギーのワンツーストレート、脳天に煮汁の
ダブル煮汁チョップ、顔面に煮汁の回し蹴りが、一瞬でオレを打ちのめした。

「生きてるか、ぬしとぉ!!」
「NIHAHA…さすが“とにかくすさまじいほどの達人らしい”チャパ王直伝の技なり!!」
「カウント!ワン!ツー!スリ…にょわっ!?」
「よっと、疲労しきった体にはちょっときつかった…」
「急所に決まらなかったみたい」
「海栗にに…アレを喰らって生きていられたのは貴様が29人目だ!!」
「多っ!!」

なんとか堪えられたものの、迂闊に飛び込んだらまたアレを喰らってしまう。
ここは人数の差で勝負したいところだが…

「ぬしと、キャミOH、お前達の命…オレにくれ!!」
「…何か秘策があるのか?」
「1分だ…1分でいい!時間を稼いでくれ!! それだけでいいんだ!!」
「NIHAHA!! たった1分くらい、どうってことないわぁ!!」
「よし、ボデド任せた!!!」

 シュバッ!!!

オレとキャミOHはほぼ同時に駆け出した。
二人とも体力は限界にきている…ボデドに賭けるしかなかった。

「頼んだぜ二人とも…
 風力・温度・湿度一気に…確認!ならばやってやりますか……!
 サテライトサービス要求!!マイクロウェーブ施設に接続!!!」

「来た来た来ましたよナギー!!!」
「漢・キャミOH味煤をなめるなよぉ!そいや、そいや、そいやぁぁぁーーー!!」
「残った力、全部受け取れ!」

ドガガガガガガガガガ!!!

「にょわっ!?手加減しろ!くにさんきぬしと!!」
「お前が言えたことかっ!! ぐはっ!?」
「足元がお留守です」
「お前もな!!紋章閃ッ!!」

 ズガァッ!!!

キャミOHの額から光線が発射されたが辛うじて避けられた。
ナギーのやつ、煮汁を背負いながらなんて瞬発力だ!

「NIHA、素早いやつだ!!」
「遅いですね」
「なにぃっ!!!」

キャミOHの背後を盗ったナギー。いつの間に!?

「いくよナギー!!八手拳!!!」
「うがっはぁぁぁぁぁーーーーー!!!!☆」

 ドガガガ!チュドーーーン!!!

うあ、もろに喰らったな…
キャミOHリタイヤ。

「どこを見ているの?」
「なっ!?」

背中から声が聞こえた…
背筋がゾッと震え上がり冷や汗が頬を伝う…

「スピードには自身があるんです」
「…くそっ!!!」

振り向き様に拳を放つ。
一応見た目は普通の女子高生っぽいナギーをぶん殴るのは少々気が引けたので、
肩に乗っている煮汁に照準を合わせた。

「海栗!?何か良からぬ事を考えたな!!!」
「悪く思うな煮汁ぅーーー!!!」

 スカッ…

拳が煮汁の顔をすり抜けて空を切る。勢いあまってよろける…

「残像!?」
「甘いですよ国山奇さん」

また背後にッ!?
全く見えなかった…! 恐るべきスピードだ!!

「死ねぇくにさんきひとぬしとぉ!!!」

と、ちょうどその時!!

「シュート・イン!!シュート・イン!!シュゥゥゥーート・インッ!!!!」

ボデドが腰をピストン運動させながら叫んだ!

「海栗ぃ!?いつからこの小説は18禁になったぁぁ!!!!」

 ズガァッ!!

「うわらばっ!!!」

煮汁渾身のアッパーがボデドをとらえた。
美しい弧を描きながら宙に待っている。

 ズシャァ……

「うげふっ!」
「……偽犬ごときに期待したオレが馬鹿だった…」
「まあ待て…今のはほんの軽いジョーク! さて、ではいよいよ本番…ボデド、いきま〜す!!!」

 キュイイイイン

空から一筋の光が降ってきた。

「マイクロウェーブ、来るッ!!!」

その光はそのままボデドに吸収された。
一体何をする気なんだボデドは!?

「この手で、再び引き金を…引くしかないというのか…!!
 よっしゃぁ、いくぜっ!! サテライトキャノン!! 発射ァっ!!!」

 ボッシュァァァ!!!

うおぉ!!こ、これは…
ボデドが巨大なビームを放った!
まわりの地面を豪快に削り吹き飛ばし、ナギーと煮汁に突き進む!!

「海栗ぃぃぃ!サテライトランチャー展開!!!」
「サテライトランチャー… 発射!!」

 ボッシュァァァ!!!

うおっ!!!
まったく同じビーム砲をナギーと煮汁も放った!
二つの凄まじいエネルギーが真正面ぶつかり、一気に爆裂した!!!

「バカな!サテライトランチャーだと!?……うおあぁぁぁぁ!!」

 ズドォォーーーーーーー……




………。

「い…妹萌えぇぇぇ〜〜〜〜」

 パタッ…

ボデド轟沈。
オレも瀕死。
キャミOH、あっちの方に吹っ飛んだ。

「海栗!煮汁たちは正さねばならない。力無きオールドタイプどもを…そして力を持つニュータイプもだ!」
「そう、真に評価されるべきは」
「煮汁達だけなんだ!」

煮汁とナギーは誰にともなく語りかけた。
そんな勝手な…

「…決まった?」
「海栗!」
「それじゃ、フィニッシュを決めようか」
「まずはぁ〜…くにさんきひとぬしとから潰す!!」

オレからかよッ!!
しかし逃げようにも体に力が入らない…

「……何本目に死ぬかな?」
「煮汁は14本くらいだと思うよ」
「北斗七星を二つ刻めるね」
「じゃあナギー、一緒に刻もうよ!ブシュゥって!」
「ナイス・アイデア賞進呈」
「にょわっ!?『今なら入会費タダ。某テロ組織突撃部隊・地獄逝き片道切符ペアチケット』!!
 今度一緒に逝こうよナギー!!」
「うん、逝こうね煮汁」

今すぐに逝ってくれ…
それと笑顔で恐ろしい会話をするなよ…

「うぉぉぉ!!!パエってパエって二週間っ!!!」

謎の雄叫びとともにボデドが立ち上がった。
まだ何とかなりそうか!?

「ぬしとっ!!ここはオレに任せて逃げろォ!!」
「そうか!?良し来た!合点承知!!!」

そういう事ならば!!
みるみるヤル気が沸いてきたぞぉ!アドレナリン分泌完了ぅ!!

「じゃあなボデド!!」
「えっ!?そ、そんな、あっさりと!?」
「にょわっ!?薄情者が逃げていくっ!!」
「何とでも言え!!逃げも隠れもするが嘘は言わねぇ!!」
「大量殺戮の英雄よりはマシですね」
「そういうこった! がんばれよボデド!」

というわけで!最後の力を込めて!!

「フィンガーフレアボムズ!!!」

 ズドォォォォォォォン!!!!

砂浜に向けて呪文を放つ。
目晦ましだ。

 シタタタタタタタ!

迷わず逃走。
こんなに簡単に逃げる事が出来ていいのか!?と思いつつもそれどころではないので気にしない。
キャミOHともオサラバ出来るので一石二鳥。
ちゃんとトランクスも回収しておく。

「ごほっごほっ、ま、待てぬしとォォ!!」
「ボデドォ!お前を信じてるぅーーーッ!!!」
「じ、自分を信じてぇぇーーーーー!!!」

さらばボデド。

安らかに眠れ…


 


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