第五章 〜〜死闘再び! 悪即斬の名の下に!〜〜



空は青かった・・・
こんなにも青いそらはみたことがない・・・・
その遥か地平線を眺めながら
風に身をゆだねる・・・・・
この青い空の彼方には少女がいる・・・・・・・



「そ、そいつにはいつあえるんだああああああああ」
「なに、ひとりで妄想にはいってるの〜」


本当にこれからどうなるの・・・・

・・・とか悶えていると診療所に着いてしまった。
見た感じはいたって普通の診療所だが、なんといってもキャノンの姉の生息地だから油断はできない。

「とぉちゃくだよぉ〜」
「びごぉぉ〜!!!」

ぎゃるるるるるる〜!!!!!
マッハの世界で走っていたボデドが止まった。ものの1秒で。
・・・つまり、エネルギー保存の法則の名の元に吹っ飛ぶ俺。
重力から開放された俺は美しい放物線を描く。

「日の丸飛行部隊!!K点突破ぁぁっ・・・げっふぅぅっ!!」

「身体はってギャグやってる場合じゃないと思うよ〜?」
「びご〜」

もはやこいつらに何言っても無駄なような気がしてきた。
だからこそ、マッハ3で疾走したボデドから発生した衝撃波で街が壊滅気味なのもつっこまない。
俺も大人になったものだ・・・・

「と、とにかく医者に見せないとそろそろ三途の川が見えてしまう・・・」
「だから早く行くんだよ〜」
「クイックリィ!モアァァークイックリィィーー!!!」(ボデド)

叫ぶボデドもこの際無視だ。とにかく診療所の中へ。

診療所に入ったものの、誰もいない。休館というオチではないだろうが・・・

「お〜い。自分で言うのもなんだが急患だ・・・早く診てくれないか・・・」

し〜ん

反応なし。

「こんなぬるい豚汁が食えるかーー!!!!」(ボデド)

し〜ん

反応なし。つっこみもなし。

「おねぇちゃ〜ん、きゅうか 「どうした我がらぶりぃしすたぁ〜!!!!」
「早っ!!」
「ふふふ〜!今日もキャノンはかわいいな〜!!ほぉれなでなでなでなで〜!!!!」

いきなり現れた姉は出てきた早々キャノンの頭を某HMX−12よろしく撫でまくった。摩擦熱で火が発生してもおかしくないくらいの勢いで。
その姉は『悪即斬』とプリントされたTシャツに白衣(ポケットにはメスが大量)を着こんでいる。

「・・・あ、あの、俺、結構瀕死なんだけど・・・」
「さぁって今日の夕食は何にするか〜!?やはりキャノンの好きな味噌煮込みうどんか!?んん!?」
「おねぇちゃん、人主人さんが大変なんだよ〜」
「そう、変態なんだ」(ボデド)
「・・・違う、大変なんだ」
「ひとぬしと・・・!それはなんだ?男か!?それとも新しい乳製品飲料か!?」
「どういう比較だ!」
「男だよ〜。というかすぐそこで吹き矢がささって流血してる人」
「・・・貴様か・・・?」
「そ、そうだが・・・」
「・・・貴様、キャノンのなんなんだ!」
「いや、俺は 「殺す!!!」 「まだなにも言ってねぇぇ〜!!!!!」
「問答無用!貴様はここで殺す!我が妹との愛のためにな!!」
「妹萌えー!!」(ボデド)
「この胸の文字、悪即斬の名の元に!!!私のこのメスが蒼く光る!!貴様を倒せと轟き叫ぶぅ〜!!!!!」
「どこの流派だ!」
「牙突!零式!!!!!!」
「ふぐはぁぁぁ〜〜!!!」
「うわぁ、吹き矢がさらにささってるよ〜」
「妹萌えー!!!」(ボデド)
「我が妹に手を出した瞬間にお前はこうなる運命だったのだ・・・」
「おねぇちゃんかっこいい〜」
「そうだともそうだともマイプリティしすたぁぁ!!くはぁこれだからたまらんな!なでなでなでなでー!!
 よし、今日は流し味噌煮込みうどんに決定だ!!2秒で作ってくるからな!!萌える感じで待っていろよマイしすたー!」
「了解したよ〜」
「妹萌えー!!!!」(ボデド)

奥の方、おそらく居住スペースへと消える姉。

(・・・俺の治療はー!?)

「出来たぞー!!」
「ホントに2秒だー!!」
「よぉし!今日は気分がいいのでな!そこの男!貴様も我が斬り死魔家の『流れる味噌を見つめる会(ポロリあり)』にご招待だ!」
「そんなことより治療・・・」
「しかし!これは私の気分がいいからだ!これ以降も妹に何かするようならば・・・・・・えぐる!!!!」
「何をだー!?」
「妹萌えー!!!!!」(ボデド)
「さて、楽しい夕飯の始まりだ・・・最後の晩餐にならないように気をつけるがいい・・・くくく」
「わぁ〜い、流し味噌煮込みうどんだよぉ〜♪」
「妹萌えー!!!!!!」(ボデド)

ということで俺の治療をほったらかしにされたまま始まる流し味噌煮込みうどん。
俺はこのまま出血多量で・・・との不安も募りつつ。

「妹萌えー!!!!!!!」(ボデド)
「いい加減黙れ!この偽犬!!」

無事に終わればいいのだが・・・


ふと、テーブルの上に目をやる。
いかにもといった感じの古いテレビがあった。
勿論ついている。
…。


「お兄ちゃん、ただいま(若い娘)」
「ふおぉぉ、よく帰った!(じじい)」


お兄ちゃん?
おじいちゃんの間違えでは?
しかし、次の台詞を聞いて何気に納得。


「黄門お兄ちゃん、これおみあげ!」
「ふぉ!!すまないのう!(うっしゃぁーーー!!)」
「……それでね、お兄ちゃんに聞きたいことがあるの」
「なんだ?言ってみるといい」
「実はね、好きな人が出来たの」
「ほう……(なんじゃとぉぉぉーーー!?!?)」
「その人はね、近くにいるんだけど…手の届かない存在なの…」
「ほう、そうなのか?(ま、ま、ま、まさかぁぁ!!!)」
「…私、お兄ちゃんのことが…」
「(ふぉぉーーーー!!!!生きてるって素晴らしい!!!はぁぁ!!!)」
「黄門様!!(野郎の声)」
「ふぉ!?!?」
「黄門様!!」
「なんじゃぁ!!!いいところで邪魔しおってぇぇぇ!! スケだな!?どこだ!どこにいる!?」
「こぉぉぉぉもんさまぁぁぁぁ」
「ふぁぁぁぁぁーーーーーー!!!!!」
……


「黄門様!起きてください!!(スケ)」
「そろそろ、江戸に向かいますぞ!(カク)」
「…………ふぉ?(黄門)」
「寝ぼけてらっしゃいますな、黄門様(スケ)」
「……夢、夢じゃったのか…?(黄門)」
「ははは、黄門様、いい寝顔でしたよ(カク)」

 ゴブシッ(カエル飛びアッパー)

「げふぁ!!(カク)」
「なら、起こすな!!! 折角の…折角のいい夢を…!だあぁぁぁぁぁーーー!!!(号泣)(黄門)」
「黄門様、仕方ありませんよ、大人気ない…(スケ)」

 バシュコゥッ(延髄蹴り)

「貴様も同罪だ!!ええぃ、お仕置きじゃ!!ケツ出せぃ!!!(黄門)」
「…見苦しいですよ、黄門様(御下劣)」
「お、御下劣殿…(黄門)」
「夢の続きをまた見ればいいじゃないですか?」
「なんと!夢の続きを見れると申すのか!!??(黄門)」
「まあ、私のレベルにもなると、夢のリストを頭の中で作ることも可能ですがね(御下劣)」
「いやっほう!!!御下劣様最高ゥ!!!(復活スケ&カク)」
「お、お、神じゃ!!神がここにおわす!!!(黄門)」
「今のところ、10数個のドリーム・リストがありますよ。そのうち3つは18禁ですけどね(御下劣)」
「まあ、なんて破廉恥な!!(スケ)」
「いやぁっ!!羨ましすぎる!!(カク)」
「ふぉぉぉぉ……悟りじゃ…これが悟りというものなのか…!!!
 まさに御下劣様こそ次期将軍様に相応しいお方じゃ!!(黄門)」
「まあまあ、照れるでねえか。そのうちお前らにも伝授してやるよ!(御下劣)」
「はぁぁあああぁぁぁ!!!(萌) 天昇拳!天昇拳!!天昇ぉぉぉけぇんっ!!!(カク)」
「……!(号泣) おとっつぁん!!!オレは最高に幸せだぁぁぁぁーーーー!!!!(スケ)」
「……ピクピク(悶絶・黄門)」
「よぅし!目指すは江戸!さあ、今日も朝日が綺麗だぜぃ!!!(御下劣)」

 更なる絆を深めた御下劣一行。
 将軍の座を求めて再び旅路に戻るのだった…



…額から相変わらず血が出ている。
奥では流し味噌煮込みうどん大会が今まさに繰り広げられている。
暖かなにおいがオレの空腹を駆り立てる。
…いかん。腹減ったぞ。


人は自分たちの未来を知りたいがために宇宙の未来を予測する。
そこにはきっても切り離せない関係があるから…。
我々地球人の運命は、生命の源・太陽と共にある。
太陽はその寿命をまっとうせんとするとき、膨張を始める。
そして次々と太陽系の惑星を飲み込んでしまうほどの大きさになる。
それは、地球とて例外ではない。
空は太陽の炎に覆い尽くされ、海水は蒸発し灼熱の地獄と化す。
まるで金星のように。そして太陽に飲み込まれるのである。
しかし、それはまだずっと先のこと。
科学の発達により我々は宇宙を旅する生命となることもできるやもしれん。
スペースコロニーと呼ばれる内部が非常に地球環境に似た、
宇宙ステーションで我々は新たな住まうための星を求めて
宇宙を旅する時が来るかもしれない…。
宇宙にも終わりはある。
ビッグバン以来、宇宙は拡大を続けている。
従来まではその拡大は収まり、逆に縮小していくと言われてきたが、
銀河の距離関係を図ることにより、その仮説は崩れた。
地球からのそれぞれの銀河の距離を計測すると、どれも地球から遠ざかっているのである。
つまり、宇宙全体が広がっていることがわかる。
しかも、加速して。
引力により銀河は引き合っていくのだが、
その力を超える何らかのエネルギーが銀河と銀河の距離を更に離している。
もちろん宇宙空間には何もない。真空である。
しかし、研究により、この真空に答えはあった!
これを真空エネルギーと呼び、これが銀河間の引力よりも勝りさらには宇宙を拡大させ続けていると考えられる。
そして広がり続けた宇宙はどこに行き着くのか…?
星々にも寿命があるように銀河にも寿命がある。
銀河は、他の銀河と合体し発達していくことができる。
しかし宇宙の拡大により、銀河は孤立してしまうのである。
そのため徐々に衰えていき、最後には銀河の中心にある天体・ブラックホールが残る。
しかしこれも周りに惑星の残骸などのチリなどがなくなると吸収するものがなくなり、次第にしぼんでいき最後に消滅する。
…宇宙には冷たい空間・暗黒、闇のみが残るのである。
現在の科学が導き出す答えはこれである。
しかし、将来さらに科学が発展すれば違う未来の像を導き出せるかもしれない。
そしてこの宇宙の終わりの絵を変えることができるのは
真空エネルギーかもしれない。
宇宙には謎が多いのだ。
もともと宇宙はひとつではなくいくつもが繋がりあい、新しい宇宙を何度も何度も作り出していくとも考えられている。
その宇宙と宇宙を繋ぐのがワームホールと呼ばれるものである。
もっと近いところでブラックホール。
これも謎の多い天体である。
まだまだこの分野は発展の余地がたくさん残っているといえよう。


…。
……。
………。
「気が済んだか、ボデド?これで語りは終わりか?」
「まあな。この間NHKスペシャルで見たんだが実に興味深い!
 最新の知識と研究の成果!そして素晴らしく作りこまれたCG!
 ビックバンから銀河の融合、超新星爆発や宇宙ステーションなど、視聴者の目を飽きさせないぞあれは!!
 それに、私の語った部分はその番組のほんの一部でしかない!
 宇宙…!素晴らしい!
 私のハートをUFOキャッチャー!!!
 ぜひとも一度見ておいたほうがいいぞ!!
 宇宙の前には私の正体などどうでもよくなってくるぞ!!!」

…。
オレとしては目の前の生命体の謎を解き明かしたくてたまらない。

「いつかは普通に人類が月に足跡をつける時が来るんだろうなぁ!!ふんふん!!」

つまりは、ボデドは流し味噌煮込みうどん大会の出場権を剥奪され絶望的に暇なのである。
ついでにオレも空腹かつ出血多量で死にそうである。

「名雪を投げて〜!全部で11人+アナザー8人のキャラクターを使えるようになるんだってさ!! 
 アンノウンのキャラは使えないらしいぞ!」
「ほう?」
「こうね、こう!マウスさばきの基本はこう!はっ!ふんっ!ぬうぅん!!」
「ほうほう…」
「基本的にはおねーさんを使っていくといいらしい。強いそうだ。俺的にはやっぱスマッシュでごり押しだな!
 微妙に初期キャラたちは使いづらいね。やっぱ後で仲間にしたやつのほうがいい!」
「ふむふむ」
「それとキャラ習得条件なんだが…実は……」
「ほう!それはぜんぜん気がつかなかったぞ!」
「だろう!?このボデド様もこれには脱帽だ!はあぁぁぁ!!超萌え!!超萌え!!スマッシュ!」
「でも羽あゆあたりでスマッシュ連発すると自滅超萌えの方が多くないか?」
「そう!!わかってるな!やたらめったら打てばいいってもんじゃないのよね!」
「だけど、結局無理矢理」
「まあな!オレもだ!」

一人と一匹は飢えをしのぐために喋り続ける。
しかし、キャノンにはあんまり関わらんほうがよさそうだ。
あの胸元の悪即斬の名の下に必ずやオレはメスの錆になるだろう。
まあ、妹は妹で危険度MAXだがな。
これでクーラーが効いてなかったらオレは死ねる。

「やっぱ最新の携帯電話は食べれなきゃならん!!これで飢えも怖くないね!」

今日のボデドはよく喋る。
ちなみに、現在のオレは食べれる携帯に賛成だ…。

と、語り合ってもやはり腹が減る。

「腹が減ったな」
「そうだな兄弟」(ボデド)

いつのまに偽犬と兄弟になったのかはつっこまず、俺は未だエキサイトし続ける流し味噌煮込みうどん会場を見つめる。

「おねぇちゃん、やっぱり基本はなるとだと思うよ〜」
「そうだろそうだろまいしすたぁ〜!くは〜!!」

とても入れる領域ではないものの、空腹時に目の前でうどんなんぞ食われた日には理性も薄らぐ。

「・・・強襲するか兄弟」(ボデド)
「・・・だな」

獲物を見つけた某スナイパーの目になった劇画タッチのボデドをまたまたつっこまず、
決意も固まったことで、残り少ない生命エネルギーを足にこめ、俺らは会場へ飛翔する。

「うどんよこせやぁぁぁ〜!!!!」
「妹萌えぇぇぇーーー!!!!」(ボデド)

頭上はすべての格闘技において死角!!
そこをつけばどんな敵の攻撃も無効となる・・・となにかの本に書いてあった!

「お命頂戴ッ!とぉっ!!」
「萌えーー!!!!!」(ボデド)

今現在の俺の跳躍力は水平30m垂直5m。簡単に目算して会場まで残り水平5m。
このまま頭上を通過しながらうどんを強襲することが可能だ!!

「・・・ふっ、もらった!!」
「風呂!?それで!?その後どうなったー!?」(ボデド)

着実に近づいている味噌煮込みうどん。味噌の素朴な匂いが空腹をかきたてる。

「その動きムササビの如く!!風よ我をはこ 「牙突弐式!!弐式!!!落ちたところを零式!!!回転剣舞弐拾伍連!!!!」
「ダブルガドリング!アサルトミサイルポッド!!光子力バズーカ!!ガンダムハンマー!!」
「げぶふぅっ!!!」
「法律が何だーーー!!!」(ボデド)

撃墜、銃撃、爆砕、刺突、斬撃、圧砕。

「あれ〜?なんだ〜、ひとぬしとくんかぁ。私はてっきりめそ・・・げふげふっ!な、なんでもないよぉ〜」
「ふっ、我が妹との憩いのひと時を邪魔しようとは・・・次やったら・・・握り潰す!!」

声が遠くに聞こえる・・・
流血が当社比5倍くらいになってしまっている。というかもうそろそろさすがに死ぬ・・・

「短かったけど・・・楽しかったぜ・・・兄弟・・・!」(ボデド)

ボデドが先に逝っているがおそらく10分後には蘇るだろうから気にしない。
さて、このままでは餓死か出血多量かでやばいことになってしまう・・・


・・・・ど、どうする!?

「永遠の命を手に入れたい、と思ったことはないだろうか…?
 これは別に悪いことではない。
 半永久的な時の中で気の趣くままに好きなことをする。
 こんなに素晴らしいことはないだろう。
 しかし…
 限りある中でこそ、真の輝きはある。
 もし仮に、あと10日の生命だったら、どうするだろうか?
 出来る限りのことをやり終えるのか…?
 今すぐに死を迎えるか…?
 何もせずにただ時間の流れるままに過ごすか…?
 予想はいくらでもできるし、どれが正解ともいえない。
 ただわかることは、知的生命体・人間として最も充実した時間を生きていられるのではないだろうか?
 面白いとかではない。
 必死に考えを張り巡らせ、もがき苦しむ。
 その中で得たものがあったのなら、それはいくら時間を費やすことが可能になっても手に入れられないモノである。
 限りがあるからこそ、得ることが出来るのである」

「ぼ、ボデド…」

オレの予想を遥かに上回る速さでボデドが電撃復活!
しかも、一応戦闘態勢に入っている。筋肉もりもり。
そして必死に斬り死魔姉妹を説得している。

「というか、それは某日記のパクリではないか!」

キャノン姉の手痛い一言。
ボデドの体が2メートルほど吹っ飛ぶ。
恐ろしき精神ダメージ。侮れん。

「ち、違う!オレのはこの後が違うんだ!!」
「ほう?」

ボデドの見苦しい言い訳。

「オレがもしあと10日の命だったら!!
 まず、娘強襲!! 上から下までざっとその差20歳!!完全網羅!!!
 気のゆくまで堪能したら、次は学校!! チラリズムの宝庫なり!!はあぁぁぁーー!!!
 勿論、更衣室突撃!!ゴッドハンド開放!!よりどりみどりぃ!!!
 刑務所なんて怖くない!! 何せあと10日の命だからなぁ!!!
 そして…げふぅ!!!!」

今まで黙って聞いていたが、ここにきてキャノン姉の無慈悲のメスがボデドに直撃。
……しかし、ボデドのやつ破廉恥な…。

「がふ、ぐふぅ…」
「ボデド、終わりだ!!」

まずい! 黙っているとボデドがやられてしまう!
オレはすかさずキャノン姉に詰め寄る。
だが…!

「!!!」

オレの体は宙に浮いた!
いや、浮かされたのだ!!

「く、これは…!?」
「ふふ、どうかな、闘魔滅砕陣の味は?」

キャノン姉の滅砕陣がオレとボデドを襲う。
蜘蛛の巣上にのびた線から暗黒闘気の闘気流により体の自由を奪う。

「く、くそう!」

これで終わりなのか!?

「ふ…、はあ!!!」

ボデドの体が光った!
そして光の闘気で滅砕陣を打ち破った!!

「まさかこれは光の闘気!?」
「甘いな、斬り死魔よ…」(ボデド)

ボデドのおかげで助かった…
しかし!

「……ぐはぁ!」

ボデドはその場にうずくまる。

「ふ、その体で無理をするからだ!」
「お姉ちゃん、その台詞の元ネタ何? わかりにくいよう〜」
「キャノン…私は悲しいぞ!」

姉妹で仲良く話している。
…攻撃のチャンスは今しかない!!
ちょうど手元に転がっている鉄棒で攻撃に転じる!

「はあああ!!!」
「むっ!!」

…捕らえた!!
が!!

「がは!?」

オレは地面に叩きつけられた。
一瞬、キャノン姉の姿が消えた…?

悪一文字。Tシャツには『悪・即・斬』

「ふふ、今のがアバン流刀殺法最速の剣・海破斬!まあ、私の場合は剣ではなくメスではあるが」
「お姉ちゃん、すっご〜い!」
「ふふ、まあな…ちぇえい!!!」

立ち上がろうとするオレに強力な一刀が振り下ろされる。
辛うじてそれをかわす!
今までオレが立っていた床に小さなクレーターが出来た。

「よく避けられたな、今のが大地斬だ。そして、空破斬も私は習得している。
 しかし、空破斬は生物に対してはあまり効果は期待できない」
「でもでも〜、地・空・海を極めたということは〜!」
「そう、あの必殺技の完成を意味する!!」

くぅ、まずい。
その必殺技とやらに耐えられそうもない…
懐に飛び込むわけにはいかない…
一発で仕留めなければ…
だったら、あれで攻撃するしか…!
その時、師匠の言葉が脳裏によぎる。

『あの技は禁呪法に近い…
 並みの人間が使うと寿命が縮まるぜ。
 お前はまだ若い。
 無理せずとも、いずれ強力な呪文が身につく…』

いずれ…いずれ… いずれじゃ困る!!

「要るのは今だぜ!!!」
「ふ、まだ何かやる気か?」

やってやる!! 一体オレは何者だ!?というのはこの際気にしない!!

「はぁぁぁ…」

精神を集中する。
オレの5本の指に炎のかけらがちらつく…

「くらえ!!フィンガー・フレア・ボムズ!!!!」

5つのメラゾーマを一気にぶっ放した!!
この至近距離ならかわせない!
そしてメスの一太刀では全てをかき消せまい…

 壱…弐…参…肆…伍…陸…漆…捌…玖…!!

「九頭龍閃!!!!」

 ズバァァァーーーーーー
  
5つのメラゾーマはそれぞれ5つの閃光で消滅し
残りの4つの閃光がオレの肢体を捕らえた!

「ぐあぁっ!!」

痛みが全身を駆け巡る。

「これが飛天御剣流・九頭龍閃だ」

一体その数字はどこから出てくるのか…
そんなことはどうでもいいし、突きの9連発と何が違うのかもわからない。

「終わったな…さて、キャノンと一緒にお風呂…ぐはっ!?」
「油断大敵!!」(ボデド)

ボデドの空刃脚がキャノン姉にクリーンヒット。
ちなみに、空中↓大。

「おのれ!まだ生きていたか!!」
「オレをなめるなよ… オレは、不死身の魔犬戦士・ボデドだぁぁ!!!」
「ち、ビュートデストリンガー!!」

高速で伸びる鋼の爪…いや、メスか!

「その程度では!!」(ボデド)

軽やかにかわすボデド。
そしてそのままの勢いでボデドの体は無限の字を描く…!

「これは…デンプシーロールか!はっ!!」

いち早く敵の技を見切り、メス投げの攻撃に転じたキャノン姉だったがボデドはそのメスをひらりとかわす。
防御面もばっちりだ。
しかし、この技には弱点がある。
キャノン姉もそれを知っているのか、ボデドの接近を待つ。
しかしボデドがデンプシーロールの進化系を極めているのなら…!!

「…! 今だ!!」

キャノン姉は一歩下がった!
死角から攻撃するデンプシーロールを破るには一歩後退すれば良い!
ボデドの動きが丸見えだ!

「死ね!メスの錆になれ!」

このままではボデドはメスで串刺しに!!
だが、ボデドは…!

 ザシュゥ…

ボデドの脇腹をメスが切り裂く!

「肉を斬らせて骨を絶つ!!死ぬのはお前だ!! ショットガン!!!」(ボデド)
「ぐはぁ!!」

 ドゴオォォォ!!

キャノン姉は激しく吹っ飛んだ。
診療所はもうボロボロだ。
7割はキャノン姉自ら破壊していたのだが。

「はあ、はあ、やったぜ!」(ボデド)

安堵の表情を見せるボデド。オレもつられて頬が緩む。
だが、まだ終わっていなかった…!

「ボデド〜、そこまでだよ〜!!」

キャノンだ!
ツインバスターライフルを構えている。

「く、しまった!!」
「ボデド〜、覚悟だよぉ!!ターゲットロックオン!排除開始!ずどばーーーん!!!」

 ちゅどーーーーーん!!!!!

激しい音を立ててライフルが粉砕した!

「な、なんでぇ〜、なんで壊れちゃったのぉ!?!?」
「ふっ」

オレはほくそ笑んだ。
今まで、隠し持っていたファントムレイザー(自滅しないように頑張った)をライフルの銃口に向けて投げたのだ!
見事に命中しライフルの破壊に成功。難を逃れた。

「はぅぅ」

 ボテッ

爆発の巻き添えを喰らいダメージを受けたキャノンはその場に倒れた。

「大丈夫か、ボデド?」

とりあえず声をかけておく。

「ああ、助かった。傷の方なら大丈夫だ、オレはエルクゥだからな!」

ボデドの秘密が少し明らかになった!
戦闘に入る時などは、エルクゥの血によってヒト型に、しかも筋肉もりもりになるようだ。
エルクゥの再生力は強力だ。見る見るうちに傷が癒える。
……。
…まてよ??
エルクゥの血を引くのは人間だ。
ボデドは犬畜生みたいだし、なぜエルクゥの血を…?
…。これ以上は考えないことにしよう。

「ふふ、エルクゥか…私と似ているな!」
「! まだ生きているか!!」

キャノン姉が立ち上がった。
体の傷が泡により癒えている。

「私はエルクゥではないが、それに近い力を持っている。
 遠い親戚にエルクゥの力を持つ4姉妹がいてな……強かった。羨ましいと思った。
 その後私は知った…超魔生物の存在を!!
 自らの肉体を改造し、私は超魔生物になった!! ザボエラに造れて私に出来ぬはずがないからなっ!
 回復力も戦闘力も人間など遥かに超えている!
 魔法を唱える事が出来なくなると言う弱点もあるが、もともと魔法を使わない私にとっては
 魔法が使えぬことなどどうでもよかった!!」

キャノン姉の過去と強さの秘密が明かされた。
強さを求める人間の熱き魂…

「私に敵はいない! さあ、見せてみろ!貴様らの生命の炎…散り際の美しさを!!」
「ぬしと、逃げろ!!こいつはオレが何とかする!!」(ボデド)
「だが、しかし!!」
「がは!!!」(ボデド)

ボデドは激しく壁に激突した。

 ヒュオォ!!

突風がオレの体を巻き上げ地面に投げ捨てた。

 ガシィィ

もろに背中から地面に激突し痛みが広がる… く、もう立てそうもない…
二人とも殺されてしまうのか…?

「私の妹を痛めつけたんだ…死ぬ覚悟はできているな……?」

まじで死を覚悟しなきゃならないか!?

「ふう、覚悟するのはそっちだ!!」

ボデドは言った。

「まだ力の差がわからないのか?」
「力の差と勝敗は別だ!」

ボデドの体が再び光りだす。
あれは光の闘気か…?
その光が一点に収束しているように見える。

「我が師○○○よ…この不出来な弟子に最後の力を!!」

全部伏せ字かよ!?
と、オレは思ったが今はそれどころではない。

「むぅ、凄まじい…闘気!まずい!!はっ!!」

 シュッ

メスを投げる。
しかしそれはボデドの体に傷をつけられなかった…
強大な闘気はその者の身体を鋼のように強靭にすると言うが、まさに今ボデドはその状態である。

「……グランド!クルスゥゥ!!!!」

 キュイィィィーーーーー
 
 !!!!

あたりが白一色に包まれる。
それはさながら生命(いのち)の最後の輝きのごとく。


…。
……。
………。


ようやく視力が回復した眼に飛び込んできたのは、診療所の残骸と…
地面に刻まれた巨大なクルス(十字架)。
そこが見えないほど深い…
これでは助からないだろう。
そしてボデドは…?

「………」

全闘気を使い果たしたボデドは、抜け殻のようにピクリとも動かない…
しっかし、これだけ騒いでも誰一人野次馬が来ないとは…
つくづく不可思議な街である。

少なからずグランドクルスの巻き添えを喰らったオレはしばらくその場で疲れを癒す為横になっていた。
相変わらず空は青い。
オレはこんなところでいったい何をやってるんだ?

 カラン…

物音がした。
上半身を起こす。

「ボデド〜、ご臨終だよ☆」

キャノン!!
く、こいつもしぶとい!!
手に持っているのは、ハイパースコープ!!
スーファミ用の周辺機器(バズーカのようなやつ)。
ちなみに砲撃などできるはずがない。

「あれれ〜?これじゃないよう〜…デルパ!!」

筒の中から何かがドサドサ出てくる。
ここで説明しておくが、あの筒は魔法の筒でデルパの一言で筒の中にモノを取り出し、イルイルでしまう事が出来る。

「一度使って見たかったんだー、ローゼスピットォ」

…ファンネルじゃいけないのか?

「ではボデドォ、君をローゼスピット撃墜第一号に任命する!
 くらえ、我が洗礼…、ロォゼス・ピットォォ!!!」

 ヒュンヒュンヒュン!

不信な薔薇の形に見えなくもない物体がボデド目掛けて飛び交う。
オレは動けない。
ボデド絶命の瞬間か!?

 カッ

ボデドの眼が開かれた!!
復活か!?

「妹萌えぇぇ〜〜!!!」

 バシュゥ、バシュゥ、バシュゥ!

攻撃を余すことなくその身に受け、ボデド死す。
最期の瞬間まで萌えることが出来たので彼も幸せだったろう…

後はオレも止めを刺されるのみか…

「ぬしと君、君も逝っちゃっていいんだよ〜☆」

 ヒュンヒュンヒュン

目の前に変な物体が現れる。
ああ、梅雨前線まっしぐら!!夏の少し前にオレが燃えていた言葉。
あの時は若かった…

 ボン! ボン! ボン!! ボボン!!!

突然、目の前の物体(ローゼスピット)が爆発した。

「ええ〜何なの!?」

キャノンも驚きを隠せない。

「海栗ぃ、くにさんきひとぬしとは煮汁たちとまだ吹き矢をやるんだからね!」
「……ぽ」

意外な救援である。
かろうじて一命を取り留めた。

「海栗、ナギーどうする?」
「……梅雨前線まっしぐら!!」(ナギー)

実際、人に言われると何か恥ずかしい。

「……ぽ」
「お前が照れるな!」
「おおぉ、くにさんきひとぬしとが生き返った!!」

何とか力を振り絞って、寝たままだがツッコミを入れてやる。
煮汁はそんなオレを、つま先でつついている。

「うぬぬ〜、キャノリンぴんち!」
「貴様の台詞ではない!」

もう一発、今度はキャノンにツッコミを入れてやる。

「では、いきます…」

ナギーがキャノンに向かって身構える。

「おお!バトルだぁー!!!」

煮汁も横で燃えている。

「うぬぬ、やばいかも」
「……!」

ナギーは瞬時にキャノンに詰め寄った!

「はわわ!!」
「……スクリーンアウトです」

 キュッ!キュキュキュ!!

「え?え?」

困惑するキャノン。
何故か体育館の床とバッシュの裏が擦れる音がする…

「ゴールしたは戦場だぁ!!体を張れ!!もっと腰を落とせ!! 相手を自分より中に入れるな!押し出せ!!!」

珍しくナギーが轟き叫ぶ。

「うぬぬぬ〜、ずどばーーん!!」

手でナギーを突き飛ばす。バスケットではそれは反則である。
というか、何をやりたいんだ?

「……やりますね」
「ナギーがんばれーーー!!!」
「では、決めます」

 フッ

「はぅ!」

 ドサ…

キャノンは倒れた。 吹き矢を喰らって…
吹き矢を出してから正確に吹き放つまで、その間0.3秒。
超速の吹き矢さばきである。

 シュルルルル、パシュ

銃のように吹き矢の筒を回してからポケットに仕舞う。
一時、カウボーイひとぬしとを目指したオレとしては心を煽られる決めポーズだ。

「ちゃちゃちゃちゃーちゃーちゃーちゃっちゃちゃーー!」

ファイナルファンタジーのファンファーレを口ずさみながら煮汁が鉄棒を振り回す。
そして背中にピタッとつける。
どうやらクラウドの真似だったようだ。
どうでもいいことであるが、FFの戦闘終了時勝利のポーズ、キャラとアングルによってはかなり萌える。
あれにどれだけの純粋な少年がやられたことだろうか?
やるなスクウェア…

「では、いきましょう煮汁さん」
「そうしましょうナギーさん」

すっかり自分たちの世界に浸って何事もなく帰っていく二人。
俺の存在も忘れて。
何しに来た、とは言いたいが
あの二人のおかげで助かったとも言える。

ふう、長かった。
二度目の死闘を終え、さらにこの街からさっさと旅立ちたいと願った。
オレはある程度傷が癒えるまで、このまま寝そべっていることにした。


 

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